感覚統合とは?3つの感覚とつまずきのサイン・家庭でできる遊び

「感覚統合って何?」「療育で感覚統合の遊びをすすめられたけど、家でもできる?」。発達が気になる子の支援では、「感覚統合」という言葉をよく耳にします。
結論からいうと、感覚統合とは、体のさまざまな感覚からの情報を脳が整理し、まとめて使えるようにするはたらきのことです。療育では、遊びを通してこのはたらきを育てる「感覚統合療法」が作業療法士などによって行われています。この記事では、感覚統合の基本、つまずきのサイン、療育での支援内容と、家庭や園でできる遊びをまとめました。
- 感覚統合の意味と、土台になる3つの感覚
- 感覚統合のつまずきで見られやすいサイン
- 療育(作業療法)での感覚統合の支援内容
- 家庭や園でできる感覚遊びと注意点
感覚統合とは?基本の考え方
感覚統合は、アメリカの作業療法士エアーズが体系化した考え方です。私たちは、目や耳からの情報だけでなく、体の傾きや手足の動き、皮膚にふれる感覚など、たくさんの情報を同時に受け取っています。脳がそれらを整理してまとめることで、姿勢を保つ、道具を使う、人とやり取りするといった行動ができるようになります。
この「整理してまとめる」はたらきがうまくいかないと、ふだんの生活の中で困りごとが出やすくなります。感覚統合の考え方は、その背景を感覚の面から理解し、支援につなげるためのものです。
土台になる3つの感覚
| 感覚 | 主なはたらき | 生活の中の例 |
|---|---|---|
| 触覚 | ふれたものが何か、危ないかどうかを知る | 服の着心地、手で物を探る、人とのスキンシップ |
| 固有受容覚 | 手足の位置や力の入れ具合を知る | 鉛筆の筆圧、ドアを静かに閉める、ボタンをとめる |
| 前庭覚 | 体の傾き・揺れ・スピードを知る | 姿勢を保つ、ブランコに乗る、目で物を追う |
この3つは自分では意識しにくい感覚ですが、見る・聞くといった感覚や、運動・学習の土台になっていると考えられています。
新人固有受容覚や前庭覚って、ふだん意識したことがないです。
先輩そうよね。でも、いすに座っていられない、力加減が極端といった行動の背景に、この感覚の受け取り方が関係していることがあるの。「わがまま」「しつけの問題」と決めつけない見方ができるのが、感覚統合の考え方のよいところよ。
感覚統合のつまずきで見られやすいサイン
感覚の受け取り方には、敏感すぎる「過敏」と、感じにくい「鈍麻(どんま)」の両方があります。次のような様子が続くときは、感覚の面から見直してみる価値があります。
- 触覚:服のタグや砂・のりを極端に嫌がる、抱っこや散髪を強く嫌がる、けがをしても痛がらない
- 固有受容覚:力加減が苦手で物をよく壊す、姿勢が崩れやすい、ぶつかる・跳ぶなど強い刺激を求める
- 前庭覚:ブランコや高い所を怖がりすぎる、逆にくるくる回り続けても目が回らない、じっと座っていられない
- その他:大きな音で耳をふさぐ、偏食が強い、不器用さが目立つ
これらのサインがあるからといって、すぐに障害があるとは限りません。生活に困りごとが出ているかどうかが、相談するかどうかの目安になります。
療育での感覚統合の支援内容
療育の場では、主に作業療法士(OT)が感覚統合の視点で評価と支援を行います。児童発達支援や放課後等デイサービス、病院の小児リハビリなどで受けられます。
- 評価する行動の観察や保護者からの聞き取り、検査を通して、どの感覚に過敏や鈍麻があるかを見立てます。
- 目標を決める「着替えを嫌がらずにできる」「授業中に座っていられる」など、生活の困りごとを目標にします。
- 遊びの中で支援するブランコ、トランポリン、ボールプールなどの遊具を使い、子どもが楽しみながら必要な感覚を取り入れられるようにします。
- 環境を整える苦手な刺激を減らす工夫(イヤーマフ、座る場所の配慮など)を家庭や園と共有します。
感覚統合療法の効果については、研究の結果が分かれている部分もあります。「これだけで発達の課題が解決する」というものではなく、ほかの支援と組み合わせて生活の困りごとを減らすための方法の一つと考えるのが現実的です。
新人遊んでいるように見えても、ちゃんと目的があるんですね。
先輩そうなの。子どもが「やりたい」と思える遊びの中で、ちょうどよい刺激を調整していくのがOTの腕の見せどころよ。
家庭や園でできる感覚統合の遊び
| ねらい | 遊びの例 |
|---|---|
| 前庭覚 | ブランコ、すべり台、シーツブランコ、バランスボールに座って揺れる |
| 固有受容覚 | 手押し車、相撲、重い物を運ぶお手伝い、布団の上でのジャンプ |
| 触覚 | 粘土、砂遊び、袋の中の物を手探りで当てるゲーム、タオルでの乾布摩擦 |
| 体の使い方 | トンネルくぐり、ケンケンパ、ボール投げ、まねっこ体操 |
大切なのは、子どもが嫌がる遊びを無理にさせないことです。触覚が過敏な子に粘土を無理やり触らせると、かえって苦手意識が強くなります。少しでも楽しめる遊びから始め、できたことをほめていきましょう。
遊ぶときの注意点
- 回転や揺れの遊びは、顔色が悪くなる・吐き気が出るなどの様子があればすぐ中止する
- 高い所からのジャンプなどは、けがを防ぐ環境で大人が見守る
- てんかんなどの持病がある場合は、主治医や療育の担当者に確認してから行う
感覚統合の視点で見直す生活の工夫
遊びだけでなく、毎日の生活の場面でも感覚の受け取り方に合わせた工夫ができます。困りごとが起きやすい場面ごとに、よく使われる工夫を紹介します。
| 場面 | 困りごとの例 | 工夫の例 |
|---|---|---|
| 着替え | 服のタグや縫い目を嫌がる | タグを切る、縫い目が外側の肌着を選ぶ、着心地のよい素材にそろえる |
| 食事 | 座っていられない、こぼしやすい | 足の裏が床や台につく高さにする、すべり止めマットを敷く、食事の前に体を動かす遊びを入れる |
| 勉強・制作 | 筆圧が強すぎる・弱すぎる、姿勢が崩れる | 鉛筆のグリップを使う、クッションで姿勢を支える、短い時間で区切る |
| 外出 | 人ごみや大きな音で泣いてしまう | イヤーマフを使う、混む時間を避ける、落ち着ける場所を先に決めておく |
| 寝る前 | 興奮して寝つけない | 部屋を暗めにする、毛布でくるむなど体を包む刺激で落ち着かせる |
工夫を試すときは、一度に多くを変えず、一つずつ様子を見るのがコツです。どの工夫が合っていたのかがわかり、園や学校にも伝えやすくなります。
感覚の過敏さは、本人にとって「我慢すれば平気」なものではありません。苦手な刺激を無理に慣れさせようとするより、まずは安心して過ごせる環境をつくることを優先しましょう。
新人家族が工夫を記録しておくと、療育の先生にも伝えやすそうですね。
先輩その通りよ。「どの場面で」「何をしたら」「どう変わったか」をメモしておくと、作業療法士の評価にも役立つわ。園や学校との連携でも、具体的な工夫が共有できると支援がそろいやすいの。
よくある質問
感覚統合の支援はどこで受けられますか?
診断がなくても相談できますか?
大人にも感覚統合の考え方は使えますか?
- 感覚統合は、さまざまな感覚の情報を脳が整理してまとめるはたらき
- 触覚・固有受容覚・前庭覚の3つが、運動や学習の土台になる
- 過敏と鈍麻の両方があり、行動の背景を感覚の面から理解できる
- 療育では作業療法士が評価し、遊びを通して支援する
- 家庭では楽しめる遊びから始め、無理強いしないことが大切












