ことばの遅れが気になる子|発達の目安と言語聴覚士の支援・相談先

「2歳になっても単語が出ない」「同じ年の子に比べて話せることばが少ない」。ことばの発達は個人差が大きい一方で、親としてはどこまで様子を見てよいのか迷うものです。
結論からいうと、ことばの遅れが気になるときは、「話す」だけでなく「理解する」「やり取りする」の3つの面から様子を見て、心配があれば早めに相談するのが安心です。相談先では、言語聴覚士(ST)がことばの発達を評価し、家庭での関わり方も含めて支援します。この記事では、ことばの発達の目安、遅れの背景、言語聴覚士の支援内容と相談先をまとめました。
- 年齢ごとのことばの発達の目安
- ことばの遅れの背景として考えられること
- 言語聴覚士が行う評価と支援の内容
- 相談先と、家庭でできる関わり方
ことばの発達の目安と、ことばの遅れの見方
ことばの発達には大きな個人差があります。次の表はあくまで目安で、少し遅れていてもその後に追いつく子はたくさんいます。
| 年齢の目安 | 理解の面 | 話す面 |
|---|---|---|
| 1歳ごろ | 名前を呼ぶと振り向く、「ちょうだい」がわかる | 「まんま」など意味のある単語が出始める |
| 1歳半ごろ | 簡単な指示がわかる、絵本の絵を指さす | 意味のある単語がいくつか出る |
| 2歳ごろ | 体の部位や身近な物の名前がわかる | 「ワンワン、いた」など二語文が出始める |
| 3歳ごろ | 「大きい・小さい」など比べることがわかる | 三語文以上で話し、簡単な会話ができる |
大切なのは、話せることばの数だけでなく、次の3つの面をあわせて見ることです。
- 理解:大人の言うことがわかっているか
- 表出:ことばや身ぶりで伝えようとしているか
- やり取り:目が合う、指さしで興味を共有する、まねをするなど
新人話す数が少なくても、理解やりとりができていれば様子を見ていいんですか?
先輩理解ややり取りがしっかりしている子は、あとから話すことばが一気に増えることも多いわ。逆に、理解や指さし・目が合うといったやり取りが少ない場合は、早めに相談したほうがいいサインよ。
ことばの遅れの背景として考えられること
ことばの遅れには、さまざまな背景があります。一つに決めつけず、専門家と一緒に確かめていくことが大切です。
| 背景 | 特徴の例 |
|---|---|
| 個人差の範囲 | 理解ややり取りは年齢相応で、話すことばだけがゆっくり |
| 聞こえの問題 | 呼んでも反応が少ない、テレビの音を大きくする。中耳炎をくり返す子も注意 |
| 知的発達の遅れ | ことば以外の発達(遊び方、身の回りのこと)もゆっくり |
| 自閉スペクトラム症など | 目が合いにくい、指さしが少ない、こだわりが強い |
| 発音(構音)の問題 | ことばの数は多いが、特定の音がうまく言えない |
| 口の動きの問題 | 食べ物をかむ・飲み込むのも苦手、よだれが多い |
聞こえの確認は最初に行うことが多い項目です。聞こえに問題があると、ことばの入力そのものが不足するため、早く見つけることが大切です。
言語聴覚士の評価と支援の内容
言語聴覚士は、ことば・コミュニケーション・飲み込みの専門職です。小児では次のような流れで関わります。
- 評価する保護者からの聞き取り、遊びの中での観察、発達検査や言語検査を通して、理解・表出・やり取り・発音の状態を確かめます。
- 目標を決める「欲しい物を身ぶりやことばで伝えられる」「二語文で話す」など、子どもの段階に合った目標を立てます。
- 遊びの中で支援する絵カード、絵本、おもちゃを使い、子どもが「伝えたい」と思える場面をつくりながら、ことばを引き出します。
- 家族に関わり方を伝える家庭で続けられる声かけのコツを伝え、家族と一緒に取り組みます。
話しことばが出にくい子には、絵カードや身ぶり、サインなど、ことば以外の伝える手段を使うことも支援の一つです。「ほかの手段を使うと話さなくなる」と心配されることがありますが、伝わる経験が増えることで、かえってことばへの意欲が育つと考えられています。
新人話すことを練習させるだけじゃないんですね。
先輩そうよ。「伝わった」という経験が一番の土台なの。言語聴覚士は、その子が今使える手段から広げていくわ。
ことばの遅れの相談先
- 乳幼児健診・保健センター:1歳6か月児健診や3歳児健診で相談できる。保健師が経過を見てくれる
- 市区町村の発達相談窓口・子育て支援センター:療育の必要性や事業所の情報を教えてもらえる
- 小児科・耳鼻咽喉科:聞こえの検査や、専門機関への紹介を受けられる
- 児童発達支援センター・療育センター:言語聴覚士による評価や療育を受けられる
健診で「様子を見ましょう」と言われても、不安が続く場合は次の健診を待たずに相談してかまいません。言語聴覚士がいる事業所は地域によって少ないため、早めに情報を集めておくと安心です。
家庭でできる関わり方のコツ
| コツ | 具体例 |
|---|---|
| 子どもの興味に合わせる | 子どもが見ている物や遊んでいる物を、短いことばで言う(「ブーブー、はやいね」) |
| 短くゆっくり話す | 長い文より、1〜2語の短いことばで話しかける |
| 言い直さずに広げる | 「ワンワン」と言ったら「ワンワン、いたね」と一語足して返す |
| 待つ時間をつくる | 先回りせず、子どもが身ぶりや声で伝えようとするのを少し待つ |
| 絵本や歌を一緒に楽しむ | くり返しのある絵本や手遊び歌は、ことばをまねしやすい |
「言ってごらん」と無理に言わせたり、発音を何度も直したりすると、話すことが嫌になってしまうことがあります。楽しくやり取りすることを一番に考えましょう。
相談するときに伝えたいこと
相談の場では、限られた時間で子どもの様子を伝える必要があります。次のことをメモにしておくと、専門職が状況を把握しやすくなります。
- 今話せることば(単語の例、二語文が出ているか)
- 大人の言うことがどのくらいわかっているか(簡単な指示に従えるか)
- 欲しい物があるときの伝え方(指さし、手を引く、泣くなど)
- 名前を呼んだときの反応、目の合い方
- 中耳炎をくり返していないか、食べ方(かむ・飲み込む)に気になる点はないか
- 家庭での様子がわかる短い動画
診察や相談の場では、子どもが緊張していつも通りに話さないことがよくあります。家での様子を撮った短い動画は、専門職にとって大切な情報になります。
新人動画なら、普段の様子をそのまま見てもらえますね。
先輩そうなの。あわせて母子手帳も持っていくと、これまでの発達の経過を確認しやすいわ。
よくある質問
男の子はことばが遅いというのは本当ですか?
テレビや動画を見せるとことばが遅れますか?
言語聴覚士の支援は費用がかかりますか?
- ことばの遅れは「理解」「表出」「やり取り」の3つの面から見る
- 理解や指さし・目が合うなどのやり取りが少ないときは早めに相談する
- 背景には個人差のほか、聞こえ・知的発達・発達障害などがある
- 言語聴覚士は評価をもとに、遊びの中でことばと伝える手段を育てる
- 家庭では短く話し、待ち、楽しくやり取りすることを大切にする












