長谷川式とMMSEの違い|検査内容と点数の目安・受けるときの注意

「病院で長谷川式を受けたら20点だった。これは認知症ということ?」「長谷川式とMMSEは何が違うの?」。認知症の検査の結果を聞いて、点数の意味がわからず不安になる家族は少なくありません。
結論からいうと、長谷川式認知症スケール(HDS-R)とMMSEは、どちらも30点満点の認知機能の検査で、認知症の疑いがあるかをふるい分けるためのものです。点数だけで認知症と診断されるわけではなく、画像検査や生活の様子とあわせて医師が判断します。この記事では、2つの検査の内容と違い、点数の目安、検査を受けるときの注意点をまとめました。
- 長谷川式(HDS-R)とMMSEの検査内容
- 長谷川式とMMSEの違いと使い分け
- 点数の目安と、結果の受け止め方
- 検査を受けるとき・結果を伝えるときの注意点
長谷川式認知症スケール(HDS-R)とは?
長谷川式認知症スケールは、精神科医の長谷川和夫氏が1974年に作り、1991年に改訂された検査です。改訂版の英語名の頭文字から「HDS-R」とも呼ばれます。日本で生まれた検査で、医療機関や介護の現場で広く使われています。
| 項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 年齢 | 何歳ですか |
| 日時の見当識 | 今日は何年何月何日、何曜日ですか |
| 場所の見当識 | 私たちが今いるところはどこですか |
| 3つの言葉の記銘 | これから言う3つの言葉を覚えて言ってください |
| 計算 | 100から7を順番に引いてください |
| 数字の逆唱 | 言われた数字を逆から言ってください |
| 3つの言葉の遅延再生 | 先ほど覚えた3つの言葉をもう一度言ってください |
| 5つの物品記銘 | 見せた5つの物を隠し、何があったか答える |
| 言葉の流暢性 | 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください |
全9項目、30点満点で、口頭の質問だけで行えるのが特徴です。10〜15分ほどで終わります。
MMSEとは?
MMSE(Mini-Mental State Examination)は、1975年にアメリカで作られた検査で、世界中で使われています。日本語版はMMSE-Jとして標準化されています。
| 項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 時間の見当識 | 今年は何年、季節、日付、曜日、月 |
| 場所の見当識 | 都道府県、市区町村、建物の名前、何階か |
| 記銘 | 3つの言葉を覚える |
| 注意と計算 | 100から7を順番に引く |
| 再生 | 覚えた3つの言葉を思い出す |
| 呼称 | 見せた物の名前を言う |
| 復唱 | 短い文章をくり返して言う |
| 口頭の指示 | 紙を取って半分に折り、床に置くなどの3段階の指示に従う |
| 書字の指示 | 書かれた文を読み、その通りにする(目を閉じてください) |
| 文章を書く | 自由に文章を書く |
| 図形の模写 | 重なった2つの五角形を書き写す |
全11項目、30点満点です。文章を書く、図形を写すといった「動作」を伴う課題があるのが長谷川式との大きな違いです。
長谷川式とMMSEの違いと点数の目安
| 項目 | 長谷川式(HDS-R) | MMSE |
|---|---|---|
| 作られた国 | 日本 | アメリカ |
| 満点 | 30点 | 30点 |
| 形式 | 口頭の質問のみ | 口頭の質問+書く・図形を写すなどの動作 |
| 特徴 | 記憶に関する項目が多い | 言語や図形の能力など幅広く見られる |
| 認知症の疑いの目安 | 20点以下 | 23点以下 |
| 使われる場面 | 日本の医療機関・介護現場 | 国内外の医療機関、研究、新薬の対象の判断など |
MMSEでは、24〜27点を軽度認知障害(MCI)の疑いの目安とすることもあります。また、長谷川式は手が不自由な人でも受けやすく、MMSEは手の動きや視力の影響を受けやすいといった違いもあります。
点数はあくまで目安です。教育歴、緊張、難聴や視力の低下、その日の体調によって点数は変わります。認知症の診断は、画像検査や血液検査、日常生活の様子とあわせて医師が行います。
新人20点を下回ったら、すぐ認知症だと思ってしまいそうです。
先輩そこが大事なところよ。点数だけで判断せず、どの項目で点を落としたかを見ると、本人の苦手なところや残っている力がわかるの。ケアのヒントにもなるわ。
検査を受けるとき・結果を伝えるときの注意点
検査を受けるときの注意点
- 体調のよい日に受ける:寝不足や発熱、強い緊張があると点数が下がりやすい
- 眼鏡や補聴器をつける:見えない・聞こえないことで点数が下がらないようにする
- 家族が答えを助けない:正確な状態がわからなくなるため、検査中は見守るだけにする
- 何度もくり返し受けない:短い間隔でくり返すと、答えを覚えてしまうことがある
ほかの認知機能検査
長谷川式やMMSEのほかにも、目的に応じてさまざまな検査が使われます。
| 検査 | 特徴 |
|---|---|
| MoCA-J | MCI(軽度認知障害)の発見に向いている。30点満点で、25点以下がMCIの疑いの目安とされる |
| 時計描画テスト | 時計の文字盤と針を描いてもらう。計画する力や空間の認識を見る |
| CDR(臨床的認知症尺度) | 本人と家族からの聞き取りで、認知症の重症度を評価する |
| DASC-21 | 認知機能と生活機能を21項目で評価する。地域の認知症初期集中支援チームなどで使われる |
検査を組み合わせることで、点数だけではわからない生活の困りごとや、苦手な分野が見えやすくなります。
本人の気持ちへの配慮
検査を受けることは、本人にとって「試されている」と感じやすく、自尊心が傷つくことがあります。検査の前に「健康チェックの一つです」と目的を伝える、できなかった項目を責めない、終わったら「お疲れさまでした」と声をかけるなど、本人の気持ちに配慮することが大切です。
ケアマネ・介護職が結果を活かすポイント
認知機能検査の結果は、主治医意見書や診療情報提供書などで共有されることがあります。ケアプランに活かすときは、次の点を意識しましょう。
- 点を落とした項目を見る日時の見当識が低ければカレンダーや時計の工夫、遅延再生が低ければメモや声かけの工夫など、支援の方向が見えてきます。
- 生活の様子と照らし合わせる検査の点数と、実際の生活で困っていることは一致しないことがあります。アセスメントで生活の様子を具体的に確認します。
- 経過を追う前回の結果と比べることで、進み方や、サービスの効果を確認する材料になります。
なお、介護職やケアマネが独自に検査を行う場合は、結果の扱いや本人・家族への伝え方を事業所内でルール化しておきましょう。診断のように伝えることは避けるべきです。
よくある質問
長谷川式とMMSEはどちらを受ければいいですか?
点数が高ければ認知症ではないと言えますか?
運転免許の更新の認知機能検査とは違いますか?
- 長谷川式(HDS-R)とMMSEは、どちらも30点満点の認知機能のふるい分け検査
- 長谷川式は口頭のみの9項目、MMSEは書く・図形を写す課題を含む11項目
- 認知症の疑いの目安は、長谷川式20点以下、MMSE23点以下
- 点数だけで診断はされず、体調や難聴などの影響も受ける
- どの項目で点を落としたかを見ると、ケアの工夫につなげられる















