認知症の人の食事の困りごと|食べない・食べたことを忘れるときの対応

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「さっき食べたのに『ごはんはまだ?』と何度も聞かれる」「声をかけても箸が進まない」「一人暮らしの親の冷蔵庫に、同じものがたくさん入っていた」。認知症の親の食事は、家族が悩みやすいことの一つです。

認知症の人の食事の困りごとには、記憶や判断の力の低下だけでなく、体の不調や環境が関係していることも多いものです。この記事では、よくある困りごと別の原因と対応、食べやすい環境づくり、一人暮らしの親の食事を支える方法をまとめました。

この記事でわかること
  • 認知症の人の食事でよくある困りごとと、その原因
  • 困りごと別の対応のしかた
  • 食べやすくするための環境づくり
  • 一人暮らしの認知症の親の食事を支える方法
目次

認知症の人の食事でよくある困りごと

認知症の人の食事の困りごとは、症状の進み方や本人の状態によってさまざまです。よくあるものを表にまとめました。

困りごと考えられる原因の例
食べたことを忘れて、何度も食事を求める記憶の障害。空腹や口さみしさ、不安やさみしさ
食事に手をつけない、途中でやめる食べ物と認識できない、集中が続かない、口の中の痛み、便秘、体調不良
食べ方がわからない、箸が止まる道具の使い方や手順がわからなくなる、食器が多くて迷う
甘いものばかり食べる、好みが変わる味覚の変化、病気のタイプによる症状
むせる、飲み込みにくい飲み込む力の低下、食べるペースが速い
同じ食品を何度も買う、傷んだものを食べる記憶や判断の力の低下で、冷蔵庫の中身を把握できない

まず確認したいのは、体の不調が隠れていないかです。入れ歯が合わない、口内炎がある、便秘や発熱があるなど、本人がうまく伝えられない不調が、食べない原因になっていることがあります。

新人ケアマネ新人

食べないと、つい「食べて」と何度も言ってしまいます。

ベテランケアマネ先輩

心配だから当然よね。でも、急かされると、かえって食べられなくなることもあるの。まずは口の中や体調に変わりがないかを見て、それから食べる環境を整えてみるといいわ。

認知症の人の食事の困りごと別の対応

食べたことを忘れて、何度も食事を求めるとき

「さっき食べたでしょ」と否定すると、本人は「食べていないのに」と不安になったり、怒ったりします。否定せずに「今用意しているから、お茶を飲んで待っていてね」と受け止めるのが基本です。

  • お茶と、少量のお菓子や果物を出して待ってもらう
  • 1回の量を減らして、回数を増やす(1日の量は変えない)
  • 食べ終わった食器をすぐ片付けず、少し置いておく
  • 散歩や家事など、ほかのことに気持ちを向ける

食事に手をつけない、途中でやめてしまうとき

  • テレビを消し、食事に集中できる静かな環境にする
  • お皿を1〜2品ずつ出す。たくさん並ぶと迷ってしまうことがある
  • 家族が一緒に食べ、食べる様子を見せる
  • 最初のひと口を手渡しや声かけで手伝う
  • 好きなものや、食べ慣れた味つけのものを出す

むせる、飲み込みにくいとき

食事中によくむせる、飲み込むまでに時間がかかる場合は、飲み込む力が落ちているかもしれません。食べるペースをゆっくりにし、一口の量を少なくします。やわらかく、まとまりのよい形の食事にすると食べやすくなります。気になるときは、主治医や歯科医、言語聴覚士などに相談しましょう。

急に食べなくなったら受診を 急に食べなくなった、水分もとらない、ぼんやりしている、という場合は、脱水や感染症などの病気が隠れていることがあります。様子を見ずに、早めに受診しましょう。
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食事づくりの負担は、宅配食で減らせる

毎日の献立と調理をすべて家族が抱えると、負担が積み重なります。週に数回だけ宅配食に置き換えるだけでも、時間と気持ちに余裕が生まれます。

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認知症の人が食べやすくなる環境づくり

工夫具体的な例
食器を見分けやすくする白いごはんは色のついた茶わんに盛るなど、料理と食器の色を変える
使いやすい道具にするすくいやすいお皿、持ちやすいスプーン。箸が難しければスプーンにする
食事の時間を決める毎日同じ時間・同じ席で食べると、生活のリズムができる
姿勢を整える足の裏を床につけ、少し前かがみの姿勢で食べる
手づかみでも食べられる形にするおにぎりやサンドイッチなど、自分で口に運びやすい形にする
新人ケアマネ新人

手づかみで食べるのは、行儀が悪くないですか?

ベテランケアマネ先輩

自分で食べられることのほうが、ずっと大事よ。箸が使えなくなっても、手で持てる形にすれば自分で食べ続けられるの。本人の「できる」を残す工夫ね。

一人暮らしの認知症の親の食事を支える方法

一人暮らしの認知症の親の場合、食事をとったかどうかが家族からは見えにくくなります。「作る」「食べる」「片付ける」のどこでつまずいているかを見て、支え方を考えましょう。

つまずいていること支え方の例
買い物や調理ができない宅配食や配食サービス、訪問介護の調理を使う
食べたかどうかわからない手渡しの配食サービスで安否確認もしてもらう。デイサービスで昼食をとる
冷蔵庫の管理ができない家族が訪問や電話のときに冷蔵庫を確認する。食品を買いすぎないよう宅配の量を調整する
火を使うのが心配電子レンジだけで食べられるものにする。IHコンロにする

冷凍の宅配食は、電子レンジで温めるだけで1食分のおかずがそろうので、調理が難しくなった親にも使いやすい方法です。ただし、本人が冷凍庫から出して温めることができるかは確認が必要です。難しい場合は、訪問介護やデイサービスの時間に合わせて温めてもらう、手渡しの配食サービスを使うなど、ほかのサービスと組み合わせます。担当のケアマネに相談すると、全体の組み合わせを一緒に考えてもらえます。

よくある質問

認知症の親が食事をとらないとき、どのくらいで受診すべきですか?
急に食べなくなった、水分もとらない、熱がある、ぼんやりしている場合は、早めに受診しましょう。少しずつ食べる量が減っている場合も、体重が減ってきたら主治医に相談しましょう。
何度も食事を求めるとき、そのつど食べさせてもいいですか?
そのつど1食分を出すと、食べすぎになることがあります。1日の量を決めて、少量ずつ回数を分けて出す、お茶とお菓子で待ってもらうなどの方法がおすすめです。
甘いものばかり食べたがるときは、どうすればいいですか?
無理に取り上げると混乱することがあります。量を決めて食後に出す、果物やヨーグルトなどに置き換えるなどの工夫をしましょう。糖尿病などがある場合は主治医に相談してください。
配食サービスは介護保険で使えますか?
配食サービスそのものは介護保険の対象ではありませんが、市区町村が見守りを兼ねた配食サービスを行っていることがあります。地域包括支援センターやケアマネに確認しましょう。
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まとめ
  • 認知症の人の食事の困りごとには、記憶や判断の低下だけでなく体の不調や環境も関係する
  • 食べたことを忘れるときは否定せず、お茶や少量の間食で待ってもらう
  • 食べないときは、口の中や体調を確認し、静かな環境で品数を減らして出す
  • 食器の色、使いやすい道具、手で持てる形など、自分で食べられる工夫をする
  • 一人暮らしの親は、宅配食・配食サービス・訪問介護・デイサービスを組み合わせて支える

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