障害福祉のBCPとは?義務の内容・未策定減算と作り方の手順

「障害福祉のBCPって、何を書けばいいの?」「作っていないと減算になるって本当?」「ひな形をもらったけれど、そのままで大丈夫?」。2024年度から、障害福祉サービスのすべての事業所でBCP(業務継続計画)の策定が義務になりました。
結論からいうと、障害福祉のBCPは「感染症」と「自然災害」の2種類を作り、研修と訓練を年1回以上行い、定期的に見直すことが義務です。どちらか一方でも作っていないと「業務継続計画未策定減算」の対象になります。この記事では、BCPの基本、盛り込む項目、作り方の手順、運営指導で見られるポイントをまとめました。
- 障害福祉のBCPとは何か、義務の内容
- 業務継続計画未策定減算のしくみ
- 感染症BCP・自然災害BCPに盛り込む項目
- 作り方の手順と、運営指導で見られるポイント
障害福祉のBCPとは?義務になった内容
BCP(Business Continuity Plan:業務継続計画)は、感染症の流行や地震・水害などが起きたときでも、利用者への支援をできるだけ止めずに続け、止まってもすぐに再開できるようにするための計画です。
障害のある人の中には、支援が止まると命や健康に直結する人がいます。そのため、2021年度の報酬改定で策定が求められ、3年間の経過措置を経て、2024年4月から完全に義務化されました。事業所に求められていることは、次の3つです。
- 感染症と自然災害、それぞれの業務継続計画を作る
- 職員に計画を周知し、研修と訓練(シミュレーション)を定期的に行う
- 定期的に計画を見直し、必要に応じて変更する
研修と訓練の回数は、サービスの種類によって決められています。年1回以上、またはサービスによって年2回以上と決められています。新しく職員を採用したときにも研修を行うことが望ましいとされています。
新人「防災計画」はもうあるんですが、それとは違うんですか?
先輩防災計画は「災害が起きたときに命を守る」ための計画ね。BCPはその先の「支援をどう続けるか、どう再開するか」まで考えるのが違いなの。職員が半分しか出勤できないとき、どの支援を優先するかまで決めておくのよ。
業務継続計画未策定減算のしくみ
2024年度の障害福祉サービス等報酬改定で、「業務継続計画未策定減算」が新しくできました。感染症・自然災害のどちらか一方でもBCPを作っていない場合、所定の単位数から減算されます。
| サービスの区分 | 減算の割合 |
|---|---|
| 施設入所支援、療養介護、共同生活援助、宿泊型自立訓練など | 所定単位数の3% |
| 上記以外(通所系・訪問系・相談系など) | 所定単位数の1% |
訪問系などの一部のサービスには、2025年3月31日まで減算を適用しない経過措置がありましたが、すでに終了しています。減算の割合はサービスごとに細かく決められているため、自分の事業所の区分は告示や都道府県の資料で確認してください。
BCPに盛り込む主な項目
厚生労働省は、障害福祉サービス事業所向けのBCPのガイドラインとひな形を公表しています。主な項目は次のとおりです。
| 感染症BCP | 自然災害BCP |
|---|---|
| 平時の備え(体制づくり、感染対策の物品の備蓄、連絡先の整理) | 平時の備え(建物の安全確認、設備の固定、水・食料・電源の備蓄) |
| 感染の疑いが出たときの初動(報告、受診、利用者・家族への連絡) | 災害が起きたときの初動(安否確認、避難、職員の参集の基準) |
| 感染が広がったときの対応(職員が不足したときの業務の優先順位、ゾーニング) | サービスを続ける・再開するための対応(優先する業務、代わりの場所) |
| 関係機関との連携(保健所、医療機関、相談支援事業所) | 地域との連携(福祉避難所、近隣の事業所、自治体) |
障害福祉ならではのポイント
- 利用者ごとの情報:服薬、医療的ケア、コミュニケーションの方法、パニックになったときの対応などを、すぐ見られる形でまとめておきます。
- 環境の変化への配慮:避難所や代わりの場所では落ち着けない利用者もいます。慣れた物を持ち出す、事前に場所を見ておくなどの工夫を盛り込みます。
- 家族・相談支援専門員との連絡:休止したときに、誰がどの家族に連絡するか決めておきます。
BCPの作り方の手順
- 担当者とチームを決める管理者だけで作らず、現場の職員も入れて検討します。
- 事業所の危険を確認するハザードマップで浸水や土砂災害のおそれを確認し、想定する災害を決めます。
- 優先する業務を決める職員が減ったとき、必ず続ける支援と、一時的に止めてよい業務を分けます。
- ひな形をもとに書き込む厚生労働省のひな形を使い、事業所の実情に合わせて書き換えます。
- 研修・訓練で試して見直す机上訓練や避難訓練で計画を試し、うまくいかなかった点を直します。
新人訓練は、実際に避難しないとだめですか?
先輩実際に動く訓練だけでなく、「職員が3人休んだら、どう回すか」を話し合う机上訓練でもいいとされているわ。感染症の訓練は、防護具の着脱の練習も効果的よ。記録を残すのを忘れないでね。
小さな事業所で作るときのコツ
職員が少ない事業所では、計画を作る時間そのものが負担になりがちです。最初から完璧をめざさず、まずはひな形の必須項目を埋めて、訓練のたびに書き足していく進め方がおすすめです。近くの事業所と「災害時にお互いの利用者を受け入れる」といった協定を結んでおくと、計画の実効性が高まります。
見落としやすい備え
- 停電に備えた懐中電灯・電池・モバイルバッテリー、医療機器を使う利用者の予備電源
- 断水に備えた飲料水と、トイレが使えないときの簡易トイレ
- 職員と利用者の緊急連絡先の一覧(紙でも保管)
- 感染症の流行に備えたマスク・手袋・ガウン・消毒液の在庫と、補充のルール
運営指導で見られるポイント
- 感染症・自然災害の両方の計画があるか
- 研修・訓練を決められた回数行い、記録(日時・参加者・内容)が残っているか
- 計画を見直した記録があるか(職員の異動や連絡先の変更が反映されているか)
- 職員が計画の置き場所や内容を知っているか
よくある質問
BCPは、事業所ごとに作る必要がありますか?
研修や訓練は、ほかの訓練と一緒に行ってもいいですか?
一度作れば終わりですか?
- 障害福祉のBCPは2024年4月から全事業所で義務。感染症と自然災害の2種類が必要
- どちらか一方でも未策定なら、業務継続計画未策定減算(3%または1%)の対象
- 研修・訓練の実施と、定期的な見直しも義務
- 利用者ごとの情報や、環境の変化への配慮など障害福祉ならではの視点を入れる
- 運営指導では、計画の有無と研修・訓練・見直しの記録が見られる
















