補装具費支給制度とは?対象の用具・自己負担と介護保険との違い

「補聴器や車いすを作るのに、公的な補助はある?」「補装具と介護保険の福祉用具は何が違う?」「自己負担はいくら?」。身体に障害のある人が生活に欠かせない用具をそろえるとき、まず知っておきたいのが補装具費支給制度です。
結論からいうと、補装具費支給制度は、身体障害者手帳を持つ人などが義肢・装具・車いす・補聴器などを購入・修理するときに、費用の原則9割を公費で支給する制度です。自己負担は原則1割で、所得に応じた月の上限(課税世帯は37,200円)があります。この記事では、対象の用具、費用、申請の流れ、介護保険との関係をまとめました。
- 補装具費支給制度の対象者と、対象になる用具の種類
- 自己負担1割と負担上限額、所得制限
- 申請から受け取りまでの流れ
- 介護保険の福祉用具との関係と、日常生活用具との違い
補装具費支給制度とは?対象になる人
補装具は、身体の欠けた部分や、うまく働かない機能を補い、長い期間使い続ける用具のことです。補装具費支給制度は、障害者総合支援法にもとづき、その購入・借受け・修理の費用を市区町村が支給する制度です。
対象は次のような人です。
- 身体障害者手帳を持っている人(18歳未満の障害児を含む)
- 法律で定める難病の人で、補装具が必要と認められた人
補装具の種類によっては、手帳の障害の種類(肢体不自由・視覚・聴覚など)と用具が合っている必要があります。たとえば補聴器は、聴覚障害で手帳を持っている人が対象です。
新人手帳がない軽い難聴だと、補聴器の補助は受けられないんですか?
先輩この制度では対象外ね。ただ、自治体によっては、手帳がない高齢者向けに補聴器の購入を独自に助成しているところがあるの。お住まいの市区町村で確認してみてね。
補装具の種類
| 障害の種類 | 主な補装具 |
|---|---|
| 肢体不自由 | 義肢(義手・義足)、装具、座位保持装置、車椅子、電動車椅子、歩行器、歩行補助つえ(T字つえを除く) |
| 視覚障害 | 視覚障害者安全つえ(白杖)、義眼、眼鏡(矯正眼鏡・遮光眼鏡など) |
| 聴覚障害 | 補聴器、人工内耳(音声信号処理装置の修理のみ) |
| 重度の肢体不自由・難病など | 重度障害者用意思伝達装置 |
| 障害児のみ | 座位保持椅子、起立保持具、頭部保持具、排便補助具 |
購入だけでなく、成長に合わせて作り直しが必要な子どもの用具などは「借受け(レンタル)」が認められる場合もあります。それぞれの用具には耐用年数があり、壊れたときの修理や、耐用年数が過ぎた後の作り直しも対象になります。
補装具の費用と自己負担
補装具には、種類ごとに国が定めた「基準額」があります。自己負担は基準額の原則1割で、世帯の所得に応じて月の上限があります。
| 区分 | 世帯の状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護を受けている世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般 | 市町村民税課税世帯 | 37,200円 |
ただし、18歳以上の人は、本人または配偶者のうち市町村民税の所得割が46万円以上の人がいる場合は支給の対象外になり、全額自己負担です。18歳未満の子どもについては、2024年4月からこの所得制限がなくなりました。
補装具費の申請から受け取りまでの流れ
- 市区町村の窓口に相談する障害福祉の担当課に、作りたい補装具を伝えます。
- 医師の意見書や判定を受ける用具によっては、身体障害者更生相談所での判定や、指定医の意見書が必要です。
- 業者の見積書を出す補装具を作る業者(義肢装具士がいる事業所や補聴器販売店など)に見積もりを依頼します。
- 支給決定・補装具費支給券の交付市区町村が支給を決めると、支給券が届きます。
- 業者と契約し、用具を受け取る支給券を業者に出し、自己負担分だけを支払います(代理受領)。
申請から受け取りまでは、オーダーメイドの用具だと1〜3か月ほどかかることがあります。仮合わせや調整のために、何度か業者に足を運ぶこともあります。
申請をスムーズに進めるコツ
- 普段の困りごとを具体的に伝える:「長く座るとお尻が痛い」「屋外の坂道でこげない」など、生活の場面を伝えると用具の仕様を決めやすくなります。
- リハ職に同席してもらう:理学療法士や作業療法士が体の状態を評価し、業者と一緒に仕様を考えると、体に合った用具になりやすいです。
- 使う場所を確認する:家の玄関や廊下の幅、車への積み込みなど、使う環境に合っているかも確認します。
補装具と介護保険の福祉用具の関係
65歳以上(特定疾病の人は40歳以上)で介護保険の対象になっている人は、介護保険の福祉用具にある品目は、介護保険のレンタルが優先されます。
| 品目 | 原則 | 補装具で作れる場合 |
|---|---|---|
| 車いす・電動車いす | 介護保険のレンタル | 体に合わせたオーダーメイドが必要な場合 |
| 歩行器 | 介護保険のレンタル | 既製品では体に合わない場合 |
| 歩行補助つえ | 介護保険のレンタル | 既製品では体に合わない場合 |
| 義肢・装具・補聴器など | 介護保険に品目がないため補装具 | - |
麻痺が強い、体が大きく傾く、変形があるなどで既製品の車いすでは座れない人は、医師や更生相談所の判定により、補装具としてオーダーメイドで作れることがあります。
新人介護保険の利用者さんでも、補装具で車いすを作れることがあるんですね。
先輩そうなの。レンタルの車いすでは姿勢が崩れてしまう人は、補装具での作製を検討する価値があるわ。リハ職に評価してもらって、市区町村に相談してみてね。
日常生活用具給付等事業との違い
補装具とよく似た制度に「日常生活用具給付等事業」があります。補装具が「身体の機能を補う用具」なのに対し、日常生活用具は特殊寝台、入浴補助用具、ストーマ用品、拡大読書器など、日常生活をしやすくする用具が対象です。日常生活用具は市区町村が実施する事業のため、対象の品目や自己負担は自治体ごとに違います。
よくある質問
補聴器は両耳分を支給してもらえますか?
補装具が壊れたら修理代も出ますか?
耐用年数が過ぎたら作り直せますか?
補装具の自己負担は医療費控除の対象になりますか?
- 補装具費支給制度は、身体障害者手帳を持つ人などの補装具の購入・修理費を支給する制度
- 自己負担は原則1割で、課税世帯は月37,200円が上限。非課税世帯は0円
- 18歳以上は、本人か配偶者の所得割が46万円以上だと対象外
- 申請前に購入すると対象外になるので、必ず先に市区町村へ相談する
- 介護保険の対象者は車いすなどは介護保険が優先。体に合わない場合は補装具で作れることがある
















