認知症の家族と暮らすストレス|原因と今日からできる解消法

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「さっき答えたのに、また同じことを聞かれる」「夜中に何度も起こされて眠れない」「心配しているのに怒鳴られる」。認知症の家族と一緒に暮らしていると、毎日の小さな出来事が積み重なり、大きなストレスになります。
ストレスを感じるのは、あなたの愛情が足りないからではありません。この記事では、認知症の家族と暮らすストレスの原因と、場面別の対応のコツ、ストレスをためない考え方、頼れる支援と相談先を解説します。
- 認知症の家族と暮らすストレスの主な原因
- 場面別|ストレスを減らす対応のコツ
- ストレスをためないための考え方
- 家族だけで抱え込まないための支援
- 困ったときの相談先
接し方の基本を知りたい人には、次の本も参考になります。
認知症の家族と暮らすストレスの主な原因
① 同じことを何度も聞かれる
認知症では、少し前の出来事を覚えておくことが難しくなります。本人にとっては初めて聞く質問でも、家族にとっては何十回目。分かっていても、くり返されるほど気持ちがすり減ります。
② 会話や意思の疎通が難しい
言葉がうまく出てこない、話の内容がかみ合わないなど、思いが伝わらないもどかしさがストレスになります。
③ 夜間の対応で眠れない
夜中に起きて家の中を歩き回る、トイレに何度も行く、外に出ようとする。介護する家族の睡眠不足は、心の余裕を大きく奪います。
④ 暴言や介護の拒否
認知症の行動・心理症状(BPSD)として、怒りっぽくなる、入浴や着替えを拒むといった変化が出ることがあります。心配してかけた言葉に怒りで返されると、深く傷つきます。
⑤ 自分の生活との両立
仕事、家事、子育てと介護の両立で、自分の時間がなくなります。友人と会う機会が減り、孤立感を覚える人もいます。
新人同じ質問に優しく答えられない自分が、嫌になるご家族も多いですよね。
先輩そうね。でも毎回優しくできる人なんていないのよ。まず「イライラするのは当然」と自分を許すことが、ストレスを減らす第一歩なの。
症状の背景を知るとストレスが減る
認知症の症状には、病気によって直接起こる「中核症状」と、本人の不安や体調、環境などが影響して起こる「行動・心理症状(BPSD)」があります。行動・心理症状は、関わり方や環境の工夫で和らぐことがあると知っておくと、「わざとやっている」と受け止めずにすみます。
| 種類 | 主な症状 | 背景にあることの例 |
|---|---|---|
| 中核症状 | 記憶障害、時間や場所が分からなくなる、判断力の低下、段取りができない | 脳の働きの低下 |
| 行動・心理症状 | もの盗られの訴え、怒りっぽさ、夕方の落ち着きのなさ、外に出て行こうとする、介護拒否 | 不安、失敗体験、体の不調(便秘・痛み・脱水)、環境の変化、薬の影響 |
急に症状が強くなったときは、体調の変化が隠れていることもあります。家族だけで判断せず、かかりつけ医やケアマネに様子を伝えましょう。
場面別|ストレスを減らす対応のコツ
| 場面 | 対応のコツ |
|---|---|
| 同じ質問をくり返される | 正しく覚えさせようとせず、短く同じ答えを返す。カレンダーや予定を書いた紙を見える場所に貼る |
| 話がかみ合わない | 否定や訂正をせず、「そうなんだね」と気持ちを受け止める。はい・いいえで答えられる聞き方にする |
| 夜中に起きる | 日中に散歩やデイサービスで体を動かす。昼寝を長くしすぎない。夜間はトイレまでの足元を明るくする |
| 怒る・暴言がある | その場で言い返さず、少し離れて時間を置く。怒りのきっかけ(痛み、不安、疲れ)がないか振り返る |
| 入浴や着替えを嫌がる | 無理にすすめず時間を変える。「お湯が沸いたから」など本人が納得しやすい理由を添える |
ストレスをためないための考え方
- 完璧を目指さない:認知症介護に正解はありません。うまくいかない日があって当然です
- 本人を変えようとしない:病気の症状を正そうとするより、家族の関わり方や環境を工夫するほうが楽になります
- 「できたこと」に目を向ける:今日一日を無事に過ごせたことを、自分で認めましょう
- 自分の時間を少しでも持つ:好きなお茶を飲む10分でも、気持ちを切り替える時間になります
家族だけで抱え込まないための支援
| 支援 | できること |
|---|---|
| デイサービス | 日中に本人を預け、家族が休む・用事を済ませる時間をつくる |
| ショートステイ | 数日間泊まってもらい、家族がまとまって休む |
| 訪問介護・訪問看護 | 入浴や服薬の管理など、家族だけでは難しいケアを手伝ってもらう |
| 認知症カフェ・家族会 | 同じ立場の家族や専門職と話し、気持ちを分かち合う |
介護保険のサービスを使うには、要介護認定の申請が必要です。「まだ早い」と思っても、困っている時点で相談してかまいません。
新人デイサービスに行ってもらうのは、本人がかわいそうな気がして…。
先輩本人にとっても、外に出て人と話すのは良い刺激になるのよ。家族が元気でいることが、本人の安心にもつながるわ。
介護する家族のストレスチェック
ストレスは、気づかないうちに少しずつたまっていきます。次の項目に当てはまるものがないか、ときどき振り返ってみましょう。
- 本人のちょっとした言動に、以前より強くイライラする
- 夜中に目が覚めて、そのまま眠れない日が続いている
- 食欲がない、または食べすぎてしまう
- 友人と会う、趣味を楽しむといった時間がほとんどない
- 「自分がいなければ」と、誰にも介護を任せられない
- 本人に強い言葉をかけた後、自分を責めてしまう
当てはまる項目が多いほど、ストレスが限界に近づいているサインです。「まだ頑張れる」と思っているうちに、介護サービスを増やす、家族で役割を分けるなど、負担を減らす手を打ちましょう。
ストレスへの向き合い方は人それぞれです。話を聞いてもらうと楽になる人もいれば、一人の時間を持つことで回復する人もいます。自分に合った気分転換の方法を、いくつか持っておくと安心です。
ストレスを言葉にして整理する方法
ストレスは、何がつらいのかがはっきりしないほど大きく感じられます。1週間に一度、次のような表に書き出してみると、対策できることと人に頼るべきことが見えてきます。
| 書き出す項目 | 記入例 |
|---|---|
| つらかった場面 | 夜中に3回起こされ、眠れなかった |
| そのときの気持ち | イライラして、強い口調で言ってしまった。あとで落ち込んだ |
| 自分で変えられること | 寝る前の水分の量と、トイレの動線を見直す |
| 人に頼れること | 週に1回、夜間の対応を弟に代わってもらう。ショートステイを相談する |
| よかったこと | 昼間は一緒に散歩できて、笑顔が見られた |
介護する人のセルフケア
- 睡眠を最優先にする:夜間の対応が続くときは、昼に短い仮眠をとる、交代の日をつくる
- 自分の予定を先に入れる:通院や趣味の時間を先に決めて、サービスの日程を合わせる
- 話せる場所を持つ:家族会や認知症カフェ、友人など、介護の話をできる相手をつくる
- 体を動かす:散歩やストレッチなど、短い時間でも気分転換になる
疲れが限界に近いと感じるときは、認知症介護に疲れたときの限界サインと休む方法も読んでみてください。
ストレスを減らすためのサービスの使い方
介護サービスは、本人のためだけでなく、家族のストレスを減らすためにも使えます。困りごとに合わせて、次のように組み合わせを考えてみましょう。
| 家族の困りごと | 使いやすいサービス | 期待できること |
|---|---|---|
| 日中ずっと目が離せない | デイサービス、認知症対応型通所介護 | 家族が自分の時間を持てる。本人の生活リズムも整う |
| 夜眠れない日が続いている | ショートステイ | まとめて眠れる日をつくれる |
| 入浴や着替えで毎回もめる | 訪問介護、デイサービスでの入浴 | 家族以外の人のほうが、本人が受け入れやすいことがある |
| 同じ質問に答え続けて疲れる | デイサービス、地域の通いの場 | 本人が人と話す時間が増え、家族の負担が減る |
| 一人で外に出て行ってしまう | 見守り機器(認知症老人徘徊感知機器の貸与)、小規模多機能型居宅介護 | 家族の不安が減り、急な対応に備えられる |
サービスを使い始めるときは、本人が嫌がることもあります。最初は短い時間から試し、家族が「休めた」と感じられたかも含めて、ケアマネと一緒に見直していきましょう。
困ったときの相談先
- 地域包括支援センター介護保険の申請や、使えるサービスについて無料で相談できます。
- 担当のケアマネジャーサービスを使っている場合は、家族の負担が増えていることを具体的に伝えます。
- かかりつけ医・もの忘れ外来症状の変化や、夜間の不眠、怒りっぽさについて相談します。
- 認知症の人と家族の会などの電話相談介護の経験がある人に、気持ちを聞いてもらえます。
よくある質問(FAQ)
認知症の家族にイライラしてしまうのは、ひどいことですか?
同じ質問への上手な答え方はありますか?
ストレスが限界のときはどうすればいいですか?
- 認知症の家族と暮らすストレスは、同じ質問、意思疎通の難しさ、夜間の対応、暴言や拒否、生活との両立から生まれやすい
- 否定や訂正をせず気持ちを受け止める、行動の理由を考えるなど、場面に合った対応でストレスを減らせる
- 完璧を目指さず、本人を変えようとせず、自分の時間を少しでも持つことが大切
- デイサービスやショートステイ、家族会などを使い、地域包括支援センターやケアマネジャーに早めに相談する
















