居宅介護支援の減算一覧|令和6年度改定で新設された減算と防ぎ方

「加算は気にしているけど、減算はちゃんと把握できているかな」「令和6年度の改定で新しい減算が増えたと聞いた」。居宅介護支援の減算は、知らないうちに該当していると、運営指導で過去にさかのぼって返還を求められることがあります。
結論からいうと、居宅介護支援の主な減算は、運営基準減算、特定事業所集中減算、同一建物に居住する利用者への減算、高齢者虐待防止措置未実施減算、業務継続計画未策定減算の5つで、担当件数による逓減制もあわせて押さえておく必要があります。令和6年度の改定では、同一建物、高齢者虐待防止、業務継続計画の3つが新しく設けられました。この記事では、居宅介護支援の減算を一覧で整理し、それぞれの内容と防ぎ方をまとめました(令和6年度介護報酬改定時点の内容です)。
- 居宅介護支援の減算の一覧と、減算の大きさ
- 令和6年度改定で新しく設けられた減算
- それぞれの減算に該当する条件
- 減算を防ぐための事業所の取り組み
居宅介護支援の減算一覧
| 減算の名称 | 減算の大きさ | 対象 |
|---|---|---|
| 運営基準減算 | 所定単位数の50%(2か月以上続くと算定できない) | 該当する利用者 |
| 特定事業所集中減算 | 1か月につき200単位 | すべての利用者 |
| 同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント | 所定単位数の95%で算定(5%の減算) | 該当する利用者 |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数の1% | すべての利用者 |
| 業務継続計画未策定減算 | 所定単位数の1% | すべての利用者 |
このほか、ケアマネジャー1人あたりの担当件数が一定を超えると、超えた部分の居宅介護支援費が低くなる逓減制があります。減算とは呼ばれませんが、収入への影響があるため、あわせて管理しておきましょう。
新人1%の減算なら、それほど影響はなさそうですね。
先輩そう思いがちだけど、すべての利用者が対象になるうえ、運営指導で見つかると過去にさかのぼって返還になることもあるの。それに、どちらも「やるべきことをやっていない」という評価になるから、信頼の面でも避けたいわね。
運営基準減算と特定事業所集中減算
運営基準減算
ケアマネジメントの基本的な手順を守っていない場合の減算です。次のような場合が該当します。
- 契約時に、利用者が複数の事業所を紹介するよう求められることなどを文書で説明していない
- アセスメントで利用者の居宅を訪問し、面接していない
- サービス担当者会議を開いていない(新規・変更・更新時など)
- ケアプランの原案の内容を説明し、文書で同意を得て交付していない
- モニタリングで、月1回の訪問・面接や記録を行っていない(オンラインの要件を満たす場合を除く)
減算は所定単位数の50%で、2か月以上続くと居宅介護支援費そのものが算定できなくなります。また、運営基準減算に該当する月は初回加算も算定できません。
特定事業所集中減算
訪問介護・通所介護・地域密着型通所介護・福祉用具貸与のいずれかで、同じ法人の事業所の割合が80%を超え、正当な理由がない場合の減算です。判定は年2回で、超えていなくても判定の書類を作って保存する必要があります。
令和6年度改定で新しく設けられた減算
同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント
次のどちらかにあたる利用者を担当する場合、所定単位数の95%で算定します。
- 事業所と同じ敷地内の建物や、隣接する敷地内の建物などに住んでいる利用者
- 事業所の利用者が1か月に20人以上住んでいる建物(上記以外)に住んでいる利用者
サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームの入居者を多く担当している事業所は、建物ごとの担当人数を毎月確認しておきましょう。
高齢者虐待防止措置未実施減算
次の措置のどれかを行っていない場合、すべての利用者について所定単位数の1%が減算されます。経過措置はなく、令和6年4月から適用されています。
- 虐待防止のための対策を検討する委員会を定期的に開き、結果を職員に周知する
- 虐待防止のための指針を整備する
- 虐待防止のための研修を定期的に行う
- これらを適切に実施するための担当者を置く
業務継続計画未策定減算
感染症と自然災害の両方について業務継続計画(BCP)を作り、必要な措置を講じていない場合の減算です。居宅介護支援には経過措置があり、令和7年4月からは減算の対象になっています。
新人小さな事業所でも、委員会や研修はやらないといけないんですか?
先輩そうよ。ただ、委員会はほかの会議とあわせて開いたり、オンラインで行ったりすることも認められているの。BCPの研修や訓練も、ほかの事業所と合同で行う工夫ができるわ。大事なのは、実施した記録を残すことね。
担当件数による逓減制
| 区分 | 居宅介護支援費(Ⅰ) | 居宅介護支援費(Ⅱ) |
|---|---|---|
| i(通常の単位数) | 45件未満の部分 | 50件未満の部分 |
| ii(低い単位数) | 45件以上60件未満の部分 | 50件以上60件未満の部分 |
| iii(さらに低い単位数) | 60件以上の部分 | 60件以上の部分 |
居宅介護支援費(Ⅱ)は、ケアプランデータ連携システムの活用と事務職員の配置をしている事業所が算定できる区分です。担当件数は、介護予防支援の利用者を一定の割合で換算して数えます。計算方法の詳細は、逓減制の解説記事も参考にしてください。
減算を防ぐための取り組み
- チェックリストを作る運営基準の手順、委員会・研修・BCPの実施状況、集中減算の割合、同一建物の人数などを一覧にします。
- 毎月確認する給付管理の前に、該当する減算がないかを確認します。
- 記録を残す委員会の議事録、研修の記録、BCPの見直しの記録、担当者会議の記録などを整理して保管します。
- 年に一度は全体を見直す運営指導の前だけでなく、年に一度は事業所全体の体制を点検します。
減算を防ぐ月次チェックリスト
| 減算 | 毎月確認すること |
|---|---|
| 運営基準減算 | アセスメント、担当者会議、説明・同意・交付、月1回の訪問とモニタリングの記録がそろっているか |
| 特定事業所集中減算 | 4つのサービスごとの法人の割合が80%に近づいていないか |
| 同一建物 | 建物ごとの担当人数が20人以上になっていないか、併設の建物に住む利用者がいないか |
| 高齢者虐待防止 | 委員会・研修の予定と実施の記録、担当者の配置 |
| 業務継続計画 | 計画の見直し、研修・訓練の実施の記録 |
チェックリストは、給付管理の前に担当者が確認し、管理者が最終確認する流れにすると漏れが減ります。
よくある質問
減算に気づいたらどうすればいいですか?
減算は利用者の負担に影響しますか?
虐待防止とBCPの減算は、体制の届出が必要ですか?
同一建物の減算は、ほかの加算の計算にも影響しますか?
- 居宅介護支援の主な減算は、運営基準・集中・同一建物・虐待防止・BCPの5つ
- 運営基準減算は50%の減算で、2か月以上続くと算定できなくなる
- 令和6年度改定で、同一建物・虐待防止・BCPの減算が新しく設けられた
- 担当件数による逓減制も、収入への影響があるため管理する
- チェックリストで毎月確認し、委員会・研修・計画の記録を残す
















