大腿骨頸部骨折とは?高齢者の手術・リハビリと退院までの流れ

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「親が家で転んで、大腿骨頸部骨折と診断された」「手術をすると言われたけど、また歩けるようになるの?」「退院後の生活はどうなるの?」。足の付け根の骨折は、高齢者に多いけがのひとつで、家族にとっても不安の大きい出来事です。

大腿骨頸部骨折は、多くの場合、手術をしてできるだけ早くリハビリを始めるのが基本です。入院はおおむね急性期の病院から回復期リハビリテーション病棟へと続き、退院後の生活に向けた準備も必要になります。この記事では、大腿骨頸部骨折の原因と治療、入院からリハビリ・退院までの流れ、家族が準備しておきたいことをまとめました。

この記事でわかること
  • 大腿骨頸部骨折とはどんな骨折か、高齢者に多い理由
  • 手術の種類と、手術後に気をつけること
  • 入院からリハビリ・退院までの流れと期間の目安
  • 退院後の生活に向けて家族が準備すること
目次

大腿骨頸部骨折とは?高齢者に多い理由

大腿骨頸部は、太ももの骨(大腿骨)の上のほう、股関節に近い細くなった部分です。この部分や、そのすぐ下の「転子部」の骨折をまとめて「大腿骨近位部骨折」と呼びます。

  • 骨粗しょう症:骨がもろくなり、少しの衝撃で折れやすくなります。特に閉経後の女性に多くみられます。
  • 転倒:家の中でのつまずきや、夜間のトイレでの転倒がきっかけになることが多いです。
  • 筋力やバランスの低下:とっさに手をついたり踏ん張ったりできず、横向きに倒れて股関節を打ちます。

骨折すると、足の付け根が痛くて立てない、歩けないといった症状が出ます。ただし、ずれの少ない骨折では、痛みをがまんして歩けてしまうこともあるため、転んだあとに足の付け根の痛みが続くときは、早めに受診しましょう。

新人ケアマネ新人

骨折なら、ギプスで固定して治すのかと思っていました。

ベテランケアマネ先輩

足の付け根の骨折は、ギプスで固定しにくい場所なの。何週間も寝たきりでいると、筋力が落ちたり、肺炎や床ずれ、認知症の悪化などを起こしやすくなるわ。だから手術をして早く体を起こし、歩く練習を始めるのが基本なのよ。

大腿骨頸部骨折の手術と手術後に気をつけること

手術の種類内容主に選ばれる場合
骨接合術金属のピンやネジで、折れた骨をつなぐ骨のずれが少ない場合、転子部の骨折など
人工骨頭置換術折れた骨の頭の部分を、金属などの人工の骨頭に置き換える骨のずれが大きく、骨がつきにくいと考えられる場合

どの手術を選ぶかは、骨折の場所やずれの程度、年齢、持病などから医師が判断します。体の状態が許せば、手術はできるだけ早い時期に行い、手術の翌日ごろから体を起こす練習を始めることが多いです。

人工骨頭の場合は「脱臼」に注意

人工骨頭置換術のあとは、手術の方法によって、股関節を深く曲げる、足を内側にひねる、足を組むといった動きで、人工の骨頭が外れる(脱臼する)ことがあります。避けたほうがよい動きは手術の方法によって違うため、入院中に医師やリハビリ職から説明を受け、家族も一緒に覚えておきましょう。

手術後に起こりやすい合併症

  • せん妄(一時的に混乱したり、興奮したりする状態)
  • 肺炎、尿路感染症
  • 深部静脈血栓症(足の静脈に血の塊ができる)
  • 床ずれ

入院中に親が急に混乱したり、つじつまの合わないことを言ったりしても、せん妄であれば時間とともに落ち着くことが多いです。家族が面会で声をかけ、なじみの物を持っていくと安心につながることがあります。

入院からリハビリ・退院までの流れ

  • 急性期の病院で手術とリハビリ開始手術後、ベッドの上での運動、座る練習、立つ練習、歩行器での歩行と進めます。急性期の入院は2〜3週間ほどが多いです。
  • 回復期リハビリテーション病棟へ転院集中的なリハビリで、歩く力や、トイレ・入浴などの生活動作を練習します。大腿骨の骨折の場合、回復期リハビリテーション病棟に入院できるのは最長90日です。
  • 退院前の準備自宅の環境を確認し、手すりや福祉用具、介護サービスの準備を進めます。
  • 退院後も通院や訪問・通所のリハビリ家での生活に慣れながら、歩く力の維持や転倒予防を続けます。

骨折前と同じように歩けるまで回復する人もいれば、杖や歩行器、車いすが必要になる人もいます。骨折前の歩く力や、認知症の有無、持病などによって回復の程度は変わるため、見通しは主治医やリハビリ職に確認しましょう。

入院中に家族ができること

リハビリの様子を見学させてもらうと、親がどこまで動けるか、どんな介助が必要かがわかり、退院後の準備に役立ちます。家での生活の様子(寝室とトイレの距離、段差の有無、布団かベッドか)をリハビリ職に伝えると、家の環境に合わせた練習をしてもらえます。家の中の写真や間取りを持っていくのもおすすめです。

新人ケアマネ新人

退院の準備は、いつから始めればいいですか?

ベテランケアマネ先輩

回復期の病棟に移ったら、早めに始めるのがおすすめよ。要介護認定をまだ受けていなければ、入院中に申請しておくと、退院に合わせてサービスを使えるわ。病院の医療ソーシャルワーカーにも相談してね。

退院後の生活に向けて家族が準備すること

準備すること内容
要介護認定の申請市区町村の窓口や地域包括支援センターで申請。入院中でもできる
ケアマネジャーを決める要介護なら居宅介護支援事業所のケアマネジャー、要支援なら地域包括支援センターに相談する
家の環境を整える手すり、段差の解消、ベッド、ポータブルトイレなど。住宅改修や福祉用具は介護保険の対象になる場合がある
使うサービスを決める訪問リハビリ、通所リハビリ(デイケア)、訪問介護など
再び転ばない工夫夜間の明かり、すべりにくい靴、床の物を片づける

大腿骨の骨折を一度起こした人は、反対側の足を骨折するリスクも高いといわれています。骨粗しょう症の治療を続けることも、再骨折の予防として大切です。退院時に、骨の治療について主治医に確認しておきましょう。

よくある質問

高齢でも手術はできますか?
90歳以上でも、体の状態が許せば手術を行うことは多くあります。持病などで手術が難しい場合は、医師から別の治療方法の説明があります。
入院中に認知症が進んだように見えます。
入院による環境の変化や、手術後のせん妄で一時的に混乱することがあります。面会で声をかける、時計やカレンダーを置くなどの工夫が役立ちます。気になる変化は病棟の看護師に伝えましょう。
自宅に戻るのが難しい場合は?
老健(介護老人保健施設)でリハビリを続けてから自宅に戻る方法や、施設への入所を検討する方法があります。医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーに相談しましょう。
入院費が心配です。
医療費には、1か月の自己負担に上限がある高額療養費制度があります。限度額適用認定証(マイナ保険証を使う場合は不要なことが多い)の手続きなど、病院の窓口で確認しましょう。
人工骨頭はどのくらいもちますか?
種類や使い方によって違いますが、長く使えるものが多いとされています。定期的な受診で状態を確認してもらいましょう。
まとめ
  • 大腿骨頸部骨折は、骨粗しょう症と転倒が重なって起こりやすい
  • 多くの場合は手術をして、翌日ごろから体を起こすリハビリを始める
  • 人工骨頭の場合は、脱臼しやすい動きを家族も確認しておく
  • 急性期の病院から回復期リハビリ病棟(大腿骨骨折は最長90日)へと進むことが多い
  • 入院中に要介護認定を申請し、住宅改修やサービス、再骨折の予防を準備する

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