高齢者の低体温症|室内でも起こるサインと家族ができる予防・対処

「冬に親の家を訪ねたら、暖房もつけずに部屋が冷え切っていた」「なんとなく動きが鈍く、話し方もぼんやりしている」。高齢者の低体温症は、雪山や屋外だけでなく、家の中でも起こることがある病気です。
低体温症は、体の中心の温度(深部体温)が35℃未満に下がった状態をいいます。高齢者は寒さを感じにくく、体温を保つ力も弱いため、気づかないうちに体温が下がり、命に関わることもあります。この記事では、高齢者が低体温症になりやすい理由、見逃したくないサイン、家族ができる予防と、低体温症が疑われるときの対処をまとめました。
- 低体温症とはどんな状態か、高齢者が室内でなりやすい理由
- 低体温症のサイン(軽い段階から重い段階まで)
- 家族ができる低体温症の予防
- 低体温症が疑われるときの対処と受診の目安
低体温症とは?高齢者が室内でもなりやすい理由
低体温症は、体から逃げる熱が、体で作られる熱を上回り、深部体温が35℃未満に下がった状態です。体温が下がると、心臓や脳の働きが鈍くなり、重くなると意識がなくなったり、不整脈を起こしたりします。
| なりやすい理由 | 内容 |
|---|---|
| 寒さを感じにくい | 年齢とともに皮膚の感覚が鈍くなり、部屋が寒くても気づきにくい |
| 熱を作る力が弱い | 筋肉の量が減り、体の中で熱を作りにくくなる |
| 体温を保つ反応が遅い | 寒いときに血管を縮めたり震えたりする反応が弱くなる |
| 食事の量が少ない | 食が細く、熱を作るためのエネルギーが不足しやすい |
| 病気や薬の影響 | 甲状腺の病気、糖尿病、脳卒中のあと、睡眠薬などの薬が体温調節に影響することがある |
| 暖房を使わない | 電気代を気にする、つけ方がわからない、もったいないと感じる |
特に、一人暮らし、認知症がある、寝たきりや動く量が少ない高齢者は、体温の低下に誰も気づかないまま時間がたつことがあり、注意が必要です。
新人部屋の中にいれば、凍えることはないと思っていました。
先輩そう思われがちだけど、暖房をつけない部屋で長い時間じっとしていると、体温は少しずつ下がっていくの。「寒いと言わないから大丈夫」とは限らないのよ。本人が寒さを感じていないこともあるから、まわりが気づくことが大切ね。
低体温症のサイン|見逃したくない変化
| 段階 | 体温の目安 | 主なサイン |
|---|---|---|
| 軽い | 35〜32℃ | 強い震え、手足が冷たい、動作がゆっくり、ろれつが回りにくい、判断力が落ちる |
| 中くらい | 32〜28℃ | 震えが止まる、意識がぼんやりする、脈が遅くなる、つじつまの合わない言動 |
| 重い | 28℃未満 | 呼びかけに反応しない、呼吸や脈が弱い |
体温の数値は目安です。高齢者は震えがはっきり出ないこともあり、「なんとなく元気がない」「いつもより反応が遅い」「話がかみ合わない」といった変化が最初のサインになることがあります。認知症の悪化と見分けにくいこともあるため、急な変化があれば体温を測りましょう。
体温の測り方のコツ
わきの下で測る体温計は、体が冷えていると低めに出たり、測れなかったりすることがあります。わきの汗をふき、しっかり挟んで測りましょう。ふだんの平熱を知っておくと、変化に気づきやすくなります。
家族ができる低体温症の予防
- 部屋の温度を保つ冬でも室温18℃以上がひとつの目安です。温湿度計を置き、数字で確認できるようにします。
- 暖房の使い方を一緒に確認するリモコンの操作がわからない、つけ忘れるという場合は、タイマー設定や簡単なリモコンへの交換を検討します。
- 重ね着と首・手首・足首の保温薄手の服を重ね、首元や足元を温めます。帽子や靴下は寝るときにも役立ちます。
- しっかり食べる温かい汁物やたんぱく質をとり、熱を作るエネルギーを補います。
- 体を動かす座りっぱなしを避け、軽い体操や家の中を歩くだけでも熱が作られます。
- 見守りの仕組みをつくる電話やビデオ通話、見守りサービス、訪問介護やデイサービスの利用で、変化に気づける人を増やします。
帰省や訪問のときにチェックしたいこと
- 暖房器具が壊れていないか、灯油や電池が切れていないか
- 寝室の布団が薄すぎないか、冬用の寝具に替わっているか
- 冷蔵庫に食べ物が入っているか、食事がとれているか
- トイレや脱衣所が極端に寒くないか
- 体温計が使える状態で、すぐ取り出せる場所にあるか
灯油ストーブを使っている家では、給油が重くて負担になっていないか、換気ができているかも確認します。気になる点があれば、その場で一緒に直したり、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談したりしましょう。
新人電気代がもったいないと言って、暖房を使ってくれません…。
先輩よくある悩みね。家族が電気代の心配を受け止めたうえで、「体を壊したほうが高くつく」と伝えるのもひとつよ。部屋全体を暖めるのが難しければ、過ごす部屋を1つに決めて、そこだけしっかり暖める方法もあるわ。
低体温症が疑われるときの対処と受診の目安
意識がぼんやりしている、呼びかけへの反応が鈍い、震えが止まっているときは、すぐに119番に電話します。救急車を待つ間、次のことを行います。
- 暖かい場所に移す:寒い部屋から暖かい部屋へ移します。重症のときは、乱暴に動かさないよう静かに運びます。
- ぬれた服を着替えさせる:汗や失禁でぬれた服は体温を奪うため、乾いた服に替えます。
- 毛布で全身を包む:頭や首も含めて包み、体の中心から温めます。
- 手足を急にこすったり、熱いお湯につけたりしない:急に温めると体に負担がかかることがあります。
- 意識がはっきりしていれば温かい飲み物を:飲み込めるときだけ、少しずつ飲んでもらいます。
意識がはっきりしていて会話ができる軽い場合でも、体温がなかなか上がらない、持病がある、ふだんと様子が違うときは、かかりつけ医に相談しましょう。
よくある質問
電気毛布や湯たんぽで温めてもいいですか?
夏でも低体温症になりますか?
平熱が35℃台の親は大丈夫ですか?
ケアマネジャーに相談できますか?
- 低体温症は深部体温が35℃未満に下がった状態で、高齢者は室内でも起こる
- 寒さを感じにくく、熱を作る力も弱いため、本人が気づきにくい
- 動きが鈍い、話がかみ合わないなどの変化は体温を測る
- 室温18℃以上を目安に、重ね着・食事・運動・見守りで予防する
- 震えが止まりぼんやりしているときは、すぐに119番に通報する
















