自立支援医療(精神通院医療)とは?自己負担の上限額と申請方法

「精神科の通院費が毎月かさんでつらい」「自立支援医療を使うと何割負担になる?」「申請はどこで、何が必要?」。うつ病や統合失調症、発達障害などで通院を続ける人にとって、医療費の負担は大きな悩みです。
結論からいうと、自立支援医療(精神通院医療)を使うと、通院の医療費の自己負担が原則1割になり、さらに所得に応じた月の上限額が設けられます。申請先は市区町村の窓口です。この記事では、対象になる人、負担上限額、申請の流れと必要書類、使うときの注意点をまとめました。
- 自立支援医療の3つの種類と、精神通院医療の対象
- 自己負担1割と、所得区分ごとの負担上限月額
- 申請の流れ・必要書類・有効期間
- 使える医療機関や薬局の決まりなど、注意点
自立支援医療とは?3つの種類
自立支援医療は、心身の障害を治療するための医療費の自己負担を軽くする公費負担医療の制度です。障害者総合支援法にもとづき、次の3種類があります。
| 種類 | 対象 | 申請先の例 |
|---|---|---|
| 精神通院医療 | 精神疾患で継続的に通院治療が必要な人 | 市区町村(実施は都道府県・指定都市) |
| 更生医療 | 身体障害者手帳を持つ18歳以上で、手術などで障害を軽くできる人(人工透析、心臓手術など) | 市区町村 |
| 育成医療 | 身体に障害のある18歳未満の子どもで、手術などで効果が期待できる人 | 市区町村 |
この記事では、利用者がもっとも多い精神通院医療を中心に解説します。
新人精神通院医療は、障害者手帳がないと使えないんですか?
先輩いいえ、手帳がなくても、医師の診断書があれば申請できるわ。手帳と同時に申請することもできるのよ。
自立支援医療(精神通院医療)の対象になる人
精神疾患があり、通院による継続的な治療が必要な人が対象です。主な病名の例は次のとおりです。
- 統合失調症
- うつ病・躁うつ病(双極性障害)などの気分障害
- 不安障害、パニック障害、強迫性障害など
- てんかん
- 発達障害(自閉スペクトラム症、ADHDなど)
- 認知症などの脳の器質性の精神障害
- アルコールや薬物の依存症
対象になるのは通院の医療費です。精神科の外来診察、薬局での薬代、精神科デイケア、精神科の訪問看護などが含まれます。入院費用や、精神疾患と関係のない病気の治療(風邪や歯科など)は対象外です。
自己負担は1割+所得に応じた上限額
通常は3割負担の医療費が、自立支援医療を使うと原則1割になります。さらに、世帯の所得に応じて1か月の負担上限額があり、上限に達するとその月はそれ以上払いません。
| 所得区分 | 世帯の状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護を受けている世帯 | 0円 |
| 低所得1 | 市町村民税非課税で、本人の収入が年80万円台以下(基準額は毎年見直し) | 2,500円 |
| 低所得2 | 市町村民税非課税で、低所得1以外 | 5,000円 |
| 中間所得1・2 | 市町村民税の所得割が23万5千円未満 | 医療保険の自己負担限度額(「重度かつ継続」なら5,000円・10,000円) |
| 一定所得以上 | 市町村民税の所得割が23万5千円以上 | 原則対象外(「重度かつ継続」なら20,000円・経過的特例) |
「重度かつ継続」とは、統合失調症、うつ病・躁うつ病、てんかん、認知症などの脳機能障害、薬物関連障害の人や、精神医療に一定以上の経験がある医師が長期の治療が必要と判断した人などが該当します。中間所得の人も、該当すれば上限額が低くなります。
負担はどのくらい変わる?計算例
たとえば、1か月の医療費(診察・薬代・デイケアなどの合計)が3万円の人の場合、自己負担は次のように変わります。
| ケース | 1か月の自己負担 |
|---|---|
| 自立支援医療を使わない(3割負担) | 9,000円 |
| 自立支援医療を使い、上限に届かない(1割負担) | 3,000円 |
| 低所得2(上限5,000円) | 3,000円(1割が上限より少ないため) |
| 低所得1(上限2,500円) | 2,500円 |
デイケアに週に何回も通う人や、薬の種類が多い人ほど、負担を減らす効果が大きくなります。
ここでいう「世帯」は、住民票上の世帯ではなく、同じ医療保険に加入している家族の単位で判断します。親の扶養に入っている場合は、親の所得も含めて判定されます。
申請の流れと必要書類
- 主治医に相談する自立支援医療を使いたいことを伝え、診断書(自立支援医療用)を書いてもらいます。
- 市区町村の窓口に申請する障害福祉の担当課や保健センターなどが窓口です。
- 審査・受給者証の交付都道府県(指定都市)の審査を経て、受給者証が届きます。1〜2か月ほどかかることが多いです。
- 医療機関・薬局で受給者証を出す自己負担上限額管理票とあわせて提示します。
主な必要書類は次のとおりです(自治体により異なります)。
- 申請書
- 医師の診断書(更新時は2年に1回の提出が一般的)
- 健康保険証など、加入している医療保険がわかるもの
- 世帯の所得がわかる書類(課税証明書など。マイナンバーで省略できる場合あり)
- マイナンバーがわかるもの、本人確認書類
多くの自治体では、申請日から自立支援医療の対象になります。受給者証が届く前に受診した分は、申請書の控えを医療機関に見せたり、後で精算したりする方法があるので、窓口で確認しましょう。
新人有効期間はどのくらいですか?
先輩受給者証の有効期間は1年で、毎年の更新が必要よ。期限の3か月前から更新の申請ができることが多いから、切れないように気をつけてね。
自立支援医療を使うときの注意点
- 医療機関・薬局は登録した所だけ:受給者証に書かれた病院・薬局・訪問看護ステーションでのみ使えます。変更するときは届け出が必要です。
- 引っ越し・保険証が変わったら届け出:住所や医療保険が変わったら、変更の手続きをします。
- 上限額管理票を毎回出す:複数の医療機関の支払いを合算して上限を管理するため、毎回提示します。
- 会社に知られることはない:制度を使っても、勤務先に通知が行くことはありません。
よくある質問
自立支援医療を使うと、生命保険に入れなくなりますか?
精神科の訪問看護にも使えますか?
65歳以上でも使えますか?
上限額に達しない月は、どのくらい払いますか?
- 自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患の通院医療費を原則1割負担にする制度
- 所得に応じて月の上限額(0円・2,500円・5,000円など)があり、「重度かつ継続」はさらに軽くなる
- 主治医の診断書をもらい、市区町村の窓口に申請する。手帳がなくても使える
- 有効期間は1年。登録した医療機関・薬局でのみ使える
- 所得区分の基準は見直されることがあるので、最新の情報は窓口で確認する
















