重度訪問介護とは?対象者・できること・居宅介護との違い

「重度訪問介護って、普通のホームヘルプと何が違うの?」「ALSの家族が使えると聞いたけれど、対象になる?」「入院中も来てもらえる?」。重い障害のある人の在宅生活を支えるサービスとして、重度訪問介護を知りたい家族や支援者は多いです。
結論からいうと、重度訪問介護は、常に介護が必要な重度の障害のある人に、身体介護・家事・見守り・外出の支援を長時間まとめて提供するサービスです。原則として障害支援区分4以上で、手足の麻痺や行動障害などの要件があります。この記事では、対象者、サービス内容、居宅介護との違い、入院中の利用、介護保険との関係をまとめました。
- 重度訪問介護の対象者(区分と要件)
- 受けられる支援の内容と、居宅介護(ホームヘルプ)との違い
- 入院中に使える条件
- 費用と、65歳以降の介護保険との関係
重度訪問介護とは?対象になる人
重度訪問介護は、障害者総合支援法の介護給付の一つです。重い障害があり常に介護が必要な人が、自宅で暮らし続けられるよう、ヘルパーが長時間そばにいて支援します。
対象は、障害支援区分4以上で、次のどちらかにあてはまる人です。
- 二肢以上に麻痺などがあり、認定調査の「歩行」「移乗」「排尿」「排便」がいずれも「支援が不要」以外と認定されている人
- 知的障害や精神障害により行動上の著しい困難があり、障害支援区分の認定調査の「行動関連項目」の合計点数が10点以上の人
具体的には、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や筋ジストロフィー、頸髄損傷、重度の脳性麻痺の人、強度行動障害のある人などが利用しています。
新人ALSの人だけのサービスだと思っていました。
先輩ALSの人の利用が多いのは確かね。でも、2014年から知的障害や精神障害で行動障害が強い人も対象に広がったのよ。身体の障害に限らないことを覚えておいてね。
重度訪問介護で受けられる支援
| 支援 | 内容の例 |
|---|---|
| 身体介護 | 食事、排せつ、入浴、着替え、体位交換、移乗 |
| 家事援助 | 調理、洗濯、掃除、買い物 |
| 見守り | 急な体調の変化や、行動障害による危険がないかの見守り |
| 外出時の移動中の介護 | 通院、買い物、余暇活動などへの付き添い |
| 医療的ケア | 喀痰吸引や経管栄養(研修を受けて登録したヘルパーのみ) |
| 入院中のコミュニケーション支援 | 病院職員との意思疎通の手伝い(条件あり) |
たとえばALSで人工呼吸器を使う人なら、朝の着替えと食事(経管栄養)、日中の体位交換やたんの吸引、パソコンを使った意思伝達の手伝い、通院の付き添い、夜間の見守りまでを、同じヘルパーが連続して担当することがあります。生活の流れを途切れさせずに支えられるのが、このサービスの強みです。
1回の訪問で数時間〜24時間にわたって支援することもあり、夜間の見守りを含めて一日中ヘルパーがいる「24時間介護」で一人暮らしをしている人もいます。
重度訪問介護と居宅介護(ホームヘルプ)の違い
| 重度訪問介護 | 居宅介護 | |
|---|---|---|
| 対象 | 区分4以上で、麻痺や行動障害の要件がある人 | 区分1以上の人 |
| 支援の時間 | 長時間・連続した支援が前提 | 30分〜数時間の短時間が中心 |
| 見守り | 見守りも支援に含まれる | 原則として含まれない |
| 外出の付き添い | 同じサービスの中で使える | 通院介助などに限られる(余暇の外出は移動支援など別サービス) |
| ヘルパーの資格 | 重度訪問介護従業者養成研修の修了でもできる | 介護職員初任者研修以上など |
居宅介護は、決まった時間に決まった介助をする「点」の支援、重度訪問介護は、生活全体をそばで支える「線」の支援とイメージするとわかりやすいです。
入院中も重度訪問介護は使える?
病院では看護師などが介護を行うのが原則ですが、重度訪問介護を使っている人は、入院中も一定の条件でヘルパーの支援を受けられます。
- 対象:障害支援区分4以上で、入院前から重度訪問介護を使っていた人
- 内容:本人の意思を病院の職員に伝える支援、体位交換などで本人に合った方法を伝える支援など
- 2024年度の改定で、それまで区分6に限られていた対象が区分4・5にも広がりました
治療や看護そのものは病院が行い、ヘルパーは「本人と病院をつなぐ役割」を担います。言葉で意思を伝えにくい人にとって、慣れたヘルパーがいることは大きな安心になります。利用できる日数や手続きは市区町村によって違うので、入院が決まったら早めに相談しましょう。
新人入院すると、いつものヘルパーさんと離れてしまうのが心配でした。
先輩そうよね。入院前に病院と事業所が打ち合わせをしておくと、入院後の支援がスムーズになるわ。相談支援専門員にも早めに伝えてね。
重度訪問介護の費用と65歳以降の扱い
利用料は原則1割で、世帯(本人と配偶者)の所得に応じて月の上限額があります。市町村民税非課税世帯なら0円、課税世帯は9,300円または37,200円が上限です。長時間使っても、上限を超える負担はありません。
65歳になると、介護保険の訪問介護などが優先されます。ただし、介護保険の支給限度額だけでは必要な介護をまかなえない場合、足りない分を重度訪問介護で上乗せできることがあります。見守りや長時間の支援は介護保険では対応しにくいため、ケアマネと相談支援専門員が連携して、両方を組み合わせた計画を作ります。
重度訪問介護の事業所の探し方
重度訪問介護は長時間の支援が必要なため、ヘルパーの数が足りず、希望する時間数を引き受けられる事業所が見つからないことがあります。次のような方法で探しましょう。
- 相談支援専門員や市区町村の窓口に、対応できる事業所を聞く
- 複数の事業所を組み合わせて、時間帯ごとに分担してもらう
- 患者会や家族会で、地域の事業所の情報を集める
- 本人や家族が知っている人に研修を受けてもらい、ヘルパーとして事業所に登録してもらう方法もある
よくある質問
重度訪問介護は1日何時間まで使えますか?
家族が同居していても使えますか?
ヘルパーになるにはどんな資格が必要ですか?
大学や職場への通学・通勤にも使えますか?
- 重度訪問介護は、重度の障害のある人に長時間の介護・見守り・外出の支援を行うサービス
- 区分4以上で、二肢以上の麻痺など、または行動関連項目10点以上が要件
- 居宅介護と違い、見守りや外出もまとめて支援できる
- 入院中も区分4以上なら、病院との意思疎通の支援を受けられる
- 65歳以降も、介護保険で足りない分を上乗せできることがある
















