障害福祉サービスの減算一覧|2024年改定の新設減算と対策

「障害福祉サービスの減算にはどんな種類がある?」「2024年の報酬改定で新しくできた減算は?」「減算になると、どれくらい報酬が減るの?」。減算は、気づかないうちに対象になっていて、運営指導でさかのぼって返還を求められることもあるため、管理者として押さえておきたいポイントです。
結論からいうと、障害福祉サービスの減算は、大きく「人員や計画の不備による減算」と「義務化された取り組みを行っていないことによる減算」に分かれます。2024年度の報酬改定で、虐待防止・身体拘束・BCP・情報公表に関する減算が新たに加わりました。この記事では、主な減算の一覧と内容、対象にならないための対策をまとめました。
- 障害福祉サービスの主な減算の一覧
- 2024年度の報酬改定で新設・強化された減算
- サビ管欠如減算・個別支援計画未作成減算のしくみ
- 減算を防ぐための日ごろの対策
減算とは?加算との違い
減算は、国が定める人員・運営の基準を満たしていない場合などに、基本報酬から一定の割合を差し引くしくみです。加算が「よい取り組みへの上乗せ」なのに対して、減算は「基準を守れていないことへのペナルティ」といえます。
減算の対象になっているのに通常の報酬で請求していた場合、運営指導などで見つかると、さかのぼって差額を返還することになります。期間が長いほど返還額は大きくなります。
障害福祉サービスの主な減算一覧
主な減算と、減る割合の目安は次のとおりです。具体的な割合や対象サービスは、サービスの種類や報酬の告示で確認してください。
| 減算 | 対象になる状態 | 減る割合の目安 |
|---|---|---|
| サービス管理責任者欠如減算 | サビ管(児発管)が配置されていない | はじめの期間は30%、5か月目以降は50% |
| 個別支援計画未作成減算 | 個別支援計画を作らずにサービスを提供した | はじめの期間は30%、3か月目以降は50% |
| 人員欠如減算 | 生活支援員などが基準の人数に足りない | はじめの期間は30%、一定期間をこえると50% |
| 定員超過利用減算 | 定員を一定以上こえて利用者を受け入れた | 30% |
| 虐待防止措置未実施減算 | 虐待防止の委員会・指針・研修・担当者のいずれかがない | 1% |
| 身体拘束廃止未実施減算 | 身体拘束の記録や、適正化の委員会・指針・研修がない | 入所・居住系10%、訪問・通所系1% |
| 業務継続計画未策定減算 | 感染症・災害のBCPを作っていない | 入所・居住系3%、訪問・通所系1% |
| 情報公表未報告減算 | WAM NETの情報公表システムに報告していない | 入所・居住系10%、訪問・通所系5% |
このほか、サービスごとの減算もあります。たとえば放課後等デイサービスや児童発達支援では、支援プログラムを作成・公表していない場合や、自己評価・保護者評価の結果を公表していない場合の減算があります。
新人1%なら、そんなに影響はないですよね?
先輩1%でも、すべての利用者の基本報酬から毎月差し引かれるから、年間では大きな額になるわ。それに、運営指導で見つかればさかのぼって返すことになるの。割合が小さくても油断は禁物よ。
減算の影響を試算してみる
たとえば、利用者20人の生活介護事業所で、基本報酬が1か月400万円だとします。虐待防止措置未実施減算(1%)の対象になると、毎月4万円、1年で約48万円が減ります。これが2年分さかのぼって見つかれば、約96万円の返還です。
サビ管欠如減算で基本報酬が30%減ると、毎月120万円、50%になれば毎月200万円が減ることになります。人件費を払えなくなるほどの影響があるため、サビ管の後任の確保は経営上の最重要課題の一つです。
※金額はわかりやすくするための概算です。
2024年度の報酬改定で新設・強化された減算
虐待防止措置未実施減算(新設)
次の4つのうち、ひとつでも行っていなければ減算の対象です。
- 虐待防止委員会を定期的に開き、結果を職員に周知する
- 虐待防止のための指針を整える
- 職員に虐待防止の研修を定期的に行う
- 虐待防止の担当者を置く
身体拘束廃止未実施減算(強化)
以前からあった減算ですが、2024年度から、入所・居住系サービスでは減算の割合が大きく引き上げられました。やむを得ず身体拘束を行う場合は、その様子・時間・利用者の心身の状況・やむを得ない理由を記録する必要があります。あわせて、身体拘束適正化の委員会、指針、研修も必要です。
業務継続計画未策定減算・情報公表未報告減算(新設)
感染症と自然災害のそれぞれについてBCPを作っていない場合、また情報公表の報告をしていない場合に減算になります。BCPは作るだけでなく、研修と訓練(シミュレーション)を行い、定期的に見直すことも基準で求められています。
サビ管欠如減算と個別支援計画未作成減算に注意
障害福祉サービスで特に影響が大きいのが、サビ管の欠如と個別支援計画の未作成です。減る割合が大きく、期間が長くなるほど割合が上がるため、事業所の経営に直結します。
- サビ管の退職:急な退職でサビ管がいなくなると、すぐに減算の対象になります。研修を修了した後任候補を育てておくことが大切です。
- 計画の期限切れ:モニタリングや見直しの時期を過ぎて、有効な計画がない期間があると、未作成とみなされることがあります。
- 同意の日付:本人・家族の同意を得る前にサービスを始めると、その期間は計画がない状態として扱われます。
減算を防ぐための対策
- 義務化された取り組みを年間計画にする虐待防止・身体拘束適正化の委員会と研修、BCPの訓練を、年間の予定表に入れておきます。
- 記録を残す委員会の議事録、研修の資料と参加者名簿、訓練の記録を保管します。
- 人員と計画の状況を毎月確認する勤務表で人員の基準を、一覧表で個別支援計画の期限を確認します。
- 情報公表の報告時期を確認する自治体から案内が来たら、期限までに報告します。
よくある質問
減算の対象になっているか、どうやって確認すればいいですか?
小規模な事業所でも委員会は必要ですか?
経過措置はありますか?
減算はいつから解除されますか?
- 減算は基準を満たしていないときに基本報酬を差し引くしくみで、見つかるとさかのぼって返還になる
- サビ管欠如・個別支援計画未作成・人員欠如は、期間が長くなると50%減になる
- 2024年度から、虐待防止・BCP・情報公表の減算が新設、身体拘束の減算が強化された
- 減算の対象になったら、自分から届け出て減算後の報酬で請求する
- 委員会・研修・訓練を年間計画にし、記録を残すことが一番の対策
















